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草木の茂る、実家の庭の一角。桜の木の下。
男性の手のひら程の大きさの石が置かれた場所の前に、私はいる。
石には、手彫りで『のの之墓』と刻まれていた。
――――ののが死んでから、七年。
私は家の仏壇から拝借してきた線香に、ライターで火を点けた。
先端に朱を灯し、細く煙を上げながら、線香が燃える。
その線香を、墓石の前に据えられた窪みのある石の上に立て掛けた。
儚く燃える線香は、ののの生涯を表しているようで、目頭が熱くなる。
そっと、手を合わせる。
瞳を閉じると、七年経った今でも鮮明に、ののの姿が瞼の裏に浮かんだ。
二十一年。
私に連れ添ってくれた、私の子供のような子。
最期まで私を想ってくれていた、優しい、私の子。
線香の香が鼻を突く。
誰が見ているわけでも無いのに、私は煙が目に染みたふりをして、指で目元を拭った。
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