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練習が終わって…
私は、先輩に言われた通りに一人残った。「少し用事があるから」と何処かにいってしまった先輩。イジメだろうか?………まぁ、いいや。とりあえず、そこらに散らばったボールや、掛けっぱなしのネットを片付ける
「……明日香さん?」
ふと、誰かに声をかけられた。振り向くと、入口に雉峰さんが立っていた
「あぁ、雉峰さん。どうしたの?」
「いや、寮に行きたいんだけど、迷ってしまってね」
苦笑いを浮かべながら、雉峰さんが入ってくる
「悪いんだけど、寮まで連れていってくれないかな?私一人だと、また迷いそうだから」
えっ?いや、案内したいのはヤマヤマだけど……
「ごめんなさい。ちょっと先輩を待たなくちゃいけないの」
「………そうか、それじゃしょうがないね」
一瞬だけ何故か寂しそうに笑みを浮かべた後、すぐに普通の笑みを浮かべて
「じゃあ、事務室で聞いてくるよ。また迷うかもしれないから、その時はまた来てもいいかい?」
「うん、いいよ」
「ありがとう。………そうだ、暗くならない内に帰った方が良いよ。じゃあ、また明日」
「うん、また明日」
そういって出ていく雉峰さんに、私は手を振った。なんだか、悪い事しちゃったなぁ………
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