鬼斬りの鬼

2/3
前へ
/28ページ
次へ
鬼はまだ余裕の笑みを浮かべて、鋭く、長い爪を私の頬に当てる。鋭い切っ先が、否応無しに視界に写りこむ 「どうするのかしら、鬼斬りの鬼?貴女が私を斬るよりも速く、私はこの娘を引き裂くわよ?」 鬼は舌舐めずりをしながら、爪で私の頬をなぞる。ヒリヒリした痛みが頬を伝う 「雉峰……さん………」 「………参る」 瞬間、雉峰さんの姿が、消えた……… 「!な……にっ!」 そして、ふと気が付くと私は、雉峰さんにお姫様抱っこされていて…… 「え、えぇっ!」 慌てる私に、雉峰さんはフワリと優しく微笑み、私を地に降ろした 「明日香さん、すぐに済むから」 雉峰さんが鬼と対峙する。彼女の後ろ姿は凛々しくて、カッコいい……… 「……すぐに済む?バカにするな、裏切り者がぁ!」 鬼が怒りと共に本性を露にする。歪な角、裂けた口、つり上がった目、牙………異業のモノが、そこにいた 「………」 無言で、雉峰さんが剣を構える。キラリと白刃が光を放つ
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加