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鬼はまだ余裕の笑みを浮かべて、鋭く、長い爪を私の頬に当てる。鋭い切っ先が、否応無しに視界に写りこむ
「どうするのかしら、鬼斬りの鬼?貴女が私を斬るよりも速く、私はこの娘を引き裂くわよ?」
鬼は舌舐めずりをしながら、爪で私の頬をなぞる。ヒリヒリした痛みが頬を伝う
「雉峰……さん………」
「………参る」
瞬間、雉峰さんの姿が、消えた………
「!な……にっ!」
そして、ふと気が付くと私は、雉峰さんにお姫様抱っこされていて……
「え、えぇっ!」
慌てる私に、雉峰さんはフワリと優しく微笑み、私を地に降ろした
「明日香さん、すぐに済むから」
雉峰さんが鬼と対峙する。彼女の後ろ姿は凛々しくて、カッコいい………
「……すぐに済む?バカにするな、裏切り者がぁ!」
鬼が怒りと共に本性を露にする。歪な角、裂けた口、つり上がった目、牙………異業のモノが、そこにいた
「………」
無言で、雉峰さんが剣を構える。キラリと白刃が光を放つ
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