鬼斬りの鬼

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鬼の爪と雉峰さんの刀が鍔ぜりあう キィンキィン 金属音を立てながら、二人は斬りあっていた 「はぁ!」 気合一閃!雉峰さんの刀が、鬼の肩を捕える 「グアァァッ!」 鬼が肩を押さえる 「これで最後だ。楽せず苦せず、無に還れ!」 鋭い一撃が、鬼の額を斬る 「ギャアアアアアア!」 断末魔があがり、鬼が倒れる その顔からは、角が消え牙が消え、いつもの先輩に戻っていた 「もう、大丈夫だ……」 ハァハァと、荒い息を立てて、でも、優しい笑みを浮かべながら、雉峰さんが近付く 「ねぇ、雉峰さん、先輩は…先輩はどうなったの」 死んでしまったのでは無いか。そんな不安が、私の心をよぎる 「大丈夫。彼女は取り憑かれていたから、気絶しているだけだ。数分もしたら、目が覚めるよ」 「良かった………」 ホッと胸を撫で下ろす 「明日香!」 いつから居たのか、綾が走って私に近付く 「ちょっと、怪我してるじゃない」 綾は、噛まれた所を心配そうにみる そして何故か、雉峰さんを睨みつける 「イヅナ、私は言った筈よ。何があっても、明日香から目を離すなと」 「……面目ありません」 ………あれ? 「二人って、まさか……知り合い?」 「「……………」」 黙りこむ二人。ハァ、とため息をつきながら綾が私を見る 「しょうがないわね。こうなった以上、全てを話すしか無いわ………」 綾と雉峰さんが、優しいけれど、どこか困った目で私を見ていた………… 第一話 完
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