旧ドリカム体制

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真琴の事で上の空だった俺は前に列んでいる奴の事なんか全く持って眼中になかった。 前に列んでいた男子生徒に声を掛けられやっと我に返った俺の目の前にいたのは半分呆れかえってこっちを覗いている男前の男子生徒。 顔立ちが良く俺と同じくらいの身長。 髪は真っ黒で何というか正統派なイケメンだ。 「鼻血が溢れかえって滴り落ちてるぞ。変態」 元樹:「変態!?何だよお前!」 「お前ってもしかしてあっちの気があるの?男の体見て鼻血だしたとか?」 元樹:「ちっ違うよ!!あんた何言ってんの!!」 「だって…」 なんて感じの悪い男だ。初対面なのにここまで言われる筋合いはないぞ。 俺はそいつから視線を外し横を向いた。 するとそいつは急にしゃがみこみ自分のカバンを漁り始めた。 何か探し物があるのかカバンをひっくり返してまで黙々と探しているそいつに俺は「何やってんだこいつ」と冷たい視線を送っていた。 「ほれ」 元樹:「……何?」 そいつはカバンの中からしわくちゃのハンカチを取り出ししゃがみ込んだまま俺に渡した。 「ハンカチ。鼻血拭くのに使って」 元樹:「あっありがとう」 俺はそいつのハンカチを鼻に当てて鼻血を拭いた。 元樹:「あ…洗って返すから名前教えてもらってもいい?」 「あっ別にいいよ。あげるから」 そいつはバラまいたカバンの中身を再びカバンに戻しながら俺に言った。俺もしゃがみ込みカバンに荷物を戻す作業を手伝った。 「あっわりぃな」 元樹:「いや…俺の為にハンカチ探してくれたから。」 「次の方どうぞ」 元樹:「お前呼ばれてるぞ」 「おぅ」 そいつはカバンを持ち制服の採寸を始めた。 『こいつ結構良い奴だな』 借りたハンカチを力強く鼻に当て上を向いた。 いつしか鼻血は止まり 俺が採寸する番がまわってきた。
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