友達と元カレと幼馴染み

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図書館に西日が差し込む頃、莉佳は器材を手に、作業を始めた。今日は書棚の配置替えと書籍の移動だ。 「えーっと、この作家さんの本は…」 坦々と作業を進めていると、コンコンっと入り口のガラス戸をノックする音が聞こえて来た。 「はーい」 「作業、進んでいますか?」 「あ、壱。うん、始めたばっかりだけど」 敬語で話す彼の名は、早瀬壱。莉佳の幼馴染みで、同じ図書委員だ。それで人一倍の照れ屋とくる。 彼の慣れた敬語は、厳格な家庭が影響してるようだ。 「配置替えから手伝います。書籍の分類は後で一緒にしましょう」 無駄のない動きで荷物を置いた壱が、そう申し出る。 「ふふっありがとう、壱。昔はまだまだ頼りなかったのに、すっかり大人の男って感じだね」 笑って言う莉佳に、壱は 「…早くしましょう」 と、耳を真っ赤にして答えた。 「ふう。配置はこんなものかな」 汗ばんだ額を腕で拭い、書籍の移動に取り掛かる。 本を広げ分類していると、彼が疑問を投げ掛けた。 「莉佳さん。作家ごとに分類するのは良いのですが、ジャンルが違うと、探しにくいと思うのですが…」 「…ん。確かに、作家名が分からなければ見つけられない本もあるしね」 少しの間、腕を組み思案していると、近くに人の気配を感じた。 「ん?……一条くん」 「本を整理してるならちょうど良い。このジャンルの本、もう少し分かりやすい所に置いてくれ」 あ、返却予定の本。 渡された本は、世界的にも有名な画家の絵画が多数載った本だった。 .
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