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「やっぱり分かりにくかったかな…。ごめんね」
「別に…。じゃあ、宜しく」
彼は素っ気なく返すとそのまま図書館を出ていく。
もう一度渡された本を見る。
一条くんって絵画に興味あるんだ。……好きな事に関しては結構喋る人だったりして。
「莉佳さん?」
壱が心配そうな顔で覗き込む。
「ああ、ごめんごめん。じゃあジャンル分けしよっか」
「そうですね」
それにしても、あんなに近くまで来ないと気配に気付かないなんて、一条くんて…一体どんな人なんだろ。
「ああ、結構進んだな。配置替えも」
澄んだ空気に溶けるような声が響いた。
…この声は。
「そういえば、さっき一条見たけど、やっぱり来てたのか」
「一条くん、いつも図書館に来てるんですか?」
顔を上げ相手の顔を見ると、どこかニヤニヤしながらいつもの様に机に腰を下ろした。
「あいつは宿舎だし、時間外が主だがな」
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