別れと思い出とはじまり

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「数学が大っ好きな諸君には悪いが、私は暫く学校を留守にする。よって、休講が続くが…ちゃんと自習はしろよ」 突然、憂木一斗というドS数学教師は、教壇に名簿を叩き付けてそんな台詞を吐いた。 「ついでに図書委員は放課後、図書館で仕事」 そう付け足すと、めんどくさ気に教室から出る先生に、教室の男子は歓喜した。…まあ一部だけが。それとは反対に、女子は「良いなあ、図書委員の伊波さんはぁ」と嘆く。 「なんだこりゃ…」 知らずと莉佳から溜め息が零れる。 「けどさ、数学なくなるとかラッキーじゃね?!」 「だからって単位取得には繋がんないよ、透子」 「まあなー。」 賑わう教室の中から、崎浜くんが莉佳に声を掛けた。 「伊波さんって、今日図書の貸し出しまでするかな?」 「あ、今日は壱…早瀬くんが担当だから私は…」 「早瀬?」 崎浜が怪訝な顔で疑問符を浮かべる。 「うん、隣のクラスの」 「…そう。それはそうと高城さん、単位大丈夫?」 「いきなしなんだよ。よけーなお世話なんだよ、優等生め」 透子の悪態に崎浜は「ハハっ、元気だね」とだけ言って席へと戻っていった。 .
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