68人が本棚に入れています
本棚に追加
「数学が大っ好きな諸君には悪いが、私は暫く学校を留守にする。よって、休講が続くが…ちゃんと自習はしろよ」
突然、憂木一斗というドS数学教師は、教壇に名簿を叩き付けてそんな台詞を吐いた。
「ついでに図書委員は放課後、図書館で仕事」
そう付け足すと、めんどくさ気に教室から出る先生に、教室の男子は歓喜した。…まあ一部だけが。それとは反対に、女子は「良いなあ、図書委員の伊波さんはぁ」と嘆く。
「なんだこりゃ…」
知らずと莉佳から溜め息が零れる。
「けどさ、数学なくなるとかラッキーじゃね?!」
「だからって単位取得には繋がんないよ、透子」
「まあなー。」
賑わう教室の中から、崎浜くんが莉佳に声を掛けた。
「伊波さんって、今日図書の貸し出しまでするかな?」
「あ、今日は壱…早瀬くんが担当だから私は…」
「早瀬?」
崎浜が怪訝な顔で疑問符を浮かべる。
「うん、隣のクラスの」
「…そう。それはそうと高城さん、単位大丈夫?」
「いきなしなんだよ。よけーなお世話なんだよ、優等生め」
透子の悪態に崎浜は「ハハっ、元気だね」とだけ言って席へと戻っていった。
.
最初のコメントを投稿しよう!