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そのまま授業は進み、チャイムが鳴ると同時に授業は終わった。
崎浜くんにちゃんとお礼言わなきゃ。
「崎浜くん」
「あ、伊波さん。どうしたの?」
「崎浜くんにお礼が言いたくて。さっきはありがとう。私、数学ってほんと苦手で…。先生もあんなだし」
「気にしないでよ。僕ら海繋がりだしね(笑)分からない所あったらまた聞いて?」
彼は笑顔で応えた。
「うん、ありがと」
崎浜の海繋がり、というのは伊波莉佳の『波』と彼の崎浜佑兎の『浜』を因んでのことだ。
結果、同じクラスになって馴染んでくると、クラスメイトは二人を海コンビや海ペア等とふざけて呼ぶようになったのだ。
崎浜と話を終えると莉佳は図書館へと向かう。この学校は私立で敷地がかなり広い。グラウンドや体育館は総ての部が使用出来るように設備され、学業に専念しやすいようにと図書館や宿泊舎まで完備されている。
そんな中を、勉強が苦手な莉佳が図書館まで行くのには理由がある。
元々、本や作家に興味をもっていて、高校に上がれば図書委員になりたいと思い、ついでと言えば聞こえが悪いが、一人で考え事をする時には便利だと思ったのだ。
実際彼女が図書委員になってからは、好きな作家の本も自由に読め、一人で冷静になれる時間も十分にあったように思える。
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