過去と気持ちと縋る思い

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施錠を終えた私は、校舎へ戻るまでの途中にあるベンチで、先生と並び座っていた。 「………」 「………」 き、気まずい…。 会話会話っ!! 「先生…っ、わけも言わずに休講してましたけど、何か理由でも?」 盗み見るように先生の様子を伺う。 「…まあ……野暮用だ」 「……そうですか」 あれ? 「先生、煙草なんて吸ってました?」 「ああ……いつもは吸わない。煙草……嫌いか?」 「…いえ。」 嫌いか、と聞く先生の視線は、私と合うことなくずっとどこか遠くを見ているようだった。無意識なのか…つらい表情で。 「先生。…痛く、ないですか?」 「…?」 心が。 「足です。何故か裸足ですし」 真っ暗な中で先生の組まれた足を指差した。 「ああ、無駄に敷地広いから靴箱まで行くのめんどくせーんだよ。裏道を律儀に靴脱いで来たんだから文句ないだろ」 「だからって裸足は…」 「まあ……さすがに校舎以外は土もあるし、石踏んで多少痛いけどな」 なんだ………そうやってなんでも素直に言えばいいのに。 .
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