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「よお!莉佳。今までどこに居たんだよう」
私が体育館へ入るなり、片手をあげて近づいてくる透子を尻目に、クラス委員長の霧生巽君にOKサインを出す。
「莉佳?」
「ああ、一応朗読会の最終打ち合わせと挨拶をね。ほら、もう全員揃ったし前向いて」
そう言うと同時に、校長の恒例の挨拶が始まる。
「ぷっ、くく」
「こらっ!透子!」
「だ、だってさ、あのオッサンの頭!絶対昨日よかハゲてんぜっ。ぶっ、かっはは」
「………はぁ。オッサンじゃなくて校長よ」
ふと1番前から振り向く人影に目をやると霧生君だった。
私は透子と霧生君を交互に見ると、霧生君に小さく手を合わせて「ごめんね」と謝る。
相も変わらず透子はお腹を抱えて笑っていた。
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