本音とキオクとこれから

2/9
前へ
/85ページ
次へ
☆ 「よお!莉佳。今までどこに居たんだよう」 私が体育館へ入るなり、片手をあげて近づいてくる透子を尻目に、クラス委員長の霧生巽君にOKサインを出す。 「莉佳?」 「ああ、一応朗読会の最終打ち合わせと挨拶をね。ほら、もう全員揃ったし前向いて」 そう言うと同時に、校長の恒例の挨拶が始まる。 「ぷっ、くく」 「こらっ!透子!」 「だ、だってさ、あのオッサンの頭!絶対昨日よかハゲてんぜっ。ぶっ、かっはは」 「………はぁ。オッサンじゃなくて校長よ」 ふと1番前から振り向く人影に目をやると霧生君だった。 私は透子と霧生君を交互に見ると、霧生君に小さく手を合わせて「ごめんね」と謝る。 相も変わらず透子はお腹を抱えて笑っていた。 .
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加