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「霧生さん」
プログラムがようやく3分の1終わった頃、俺に声を掛けたのは隣のクラスの早瀬だった。
「ああ、どした。何かあったのか」
「いえ、…そうではなくて。莉佳さん、もうそろそろですから」
「……。もうそんな時間か」
早瀬は煮え切らない態度で俺をみる。
「……何か」
「え」
「何か言いたいコトがあるんだろう、俺に」
言った途端、早瀬は顔を真っ赤に染め勢いよく俯いた。
「心配するな。何もないから」
察した俺は小さくため息を吐くと凝った首を鳴らし、早瀬の背中をバシッと手で叩く。
「っ…!」
「早瀬も着るんだろ、着ぐるみ。早く行こう」
それにしてもわかりやすい。……伊波さんは気付いてないのか。
図書館へ向かう途中の廊下で俺は眉間に皺を寄せて、早瀬とは別のもう一人の男のことを考えていた。
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