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あれから数日後、数学教師は突然、私に図書委員の仕事として会席に参加しろと、それはもういつも通り命令した。
は?と目を見開いたのはつかの間。私の好きな作家が来ると聞いた瞬間、私は大きく頷いていた。
現金な奴とはこういう人間だ。
私の返事を聞くやいなや、数学教師はホッとした面持ちで日時を告げた。
「たいした会席ではないが、一応着飾れよ。今のお前じゃ子ども過ぎ」
「うるさいなっ。余計なお世話ですよ」
先生がクスッと少し笑うと、優しい目をしたように見えたのは、きっと私の見間違いだ。
会席の日、命令を受けたあの日に疑問に思ったことをいてみることにした。
「そういえば先生。なんで私なんて誘ったんですか?…っていうかなんでこんな立派な会席…しかも有名作家ばかりの席に先生が呼ばれるんですか?」
思いっきり疑うように凝視して問うと、数学教師の口から仰天な答えが返ってくる。
「当たり前だろ。そもそもここは私の家だ。表札見なかったのか?ついでに言っとくが私の父もお前の好きな作家の一人だと思うが」
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