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男がそう言うと、青年も流石に心苦し気な顔をした。
「あぁ、すまんすまん。今から旅立つもんに辛気臭い話しちまった。婆さんの事は心配すんな。前の様に村の皆でちょくちょく様子を見に行くさ」
「ありがとうございます。…あの…」
「分かってる、あんたが感謝してたって伝えとくよ」
男はそう言うと軽く手を挙げる。
「探しているもんが見つかると良いな。じゃぁ、又近くに来る事があったら、是非寄ってくれ。あんたなら大歓迎だ」
そう言って男は馬車を進ませ始めた。
「はい、ありがとうございます。その時は是非」
青年の言葉に男は後ろ手で手を振った。
馬車が小さくなるまで見送ると、青年は大門に向きを変えた。
「さてっ…と…」
軽く伸びをして、その方向に歩を進める。
「先ずは情報収集といきますか。って事はやっぱりセオリー的には……あそこだよな」
男に見せていた好青年然とした雰囲気はいつの間にか影を潜めている。
目前の門を前に彼はニヤリと笑った。
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