それぞれの…

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「うっわぁー!」   カルディスの大門を見上げ、1人の少年が歓声をあげた。 その声に驚き振り返る周囲のフィル族よりピンと尖った長い耳。そして色白の肌。   ライトエルフだ。   「凄いなぁ!こんな大きい門初めて見たよ!ねっ、ディオール」   少年は興奮しきった様子で連れに声を掛ける。   「はっ、馬っ鹿じゃねーの?てめえらの背丈よりずっとでけぇ門なんざ建てて。…フィル族ってのの考える事は分かんねぇな」   ディオールと呼ばれたライトエルフの少年より少し年長らしきエルフ。少年と同じエルフだが、褐色の肌をしたダークエルフだ。ダークエルフには珍しい金色の髪を掻き上げると、彼は嘲る様にそう言った。   「だってここはこの国の王様がいる街なんだよ?だからいざって時に敵とか簡単に入られない様にしてるんじゃないかな。凄い頑丈そうだし」   「…で、こんな変な石の壁で村の周りを囲んでるのか?」   「フィル族の習慣では珍しくないみたい。後さ、この規模の集落なら『村』じゃなく『街』って言うと思うよ」   少年がディオールの間違いを指摘すると、彼は面白くなさそうに舌打ちした。   「どっちでも良いだろ。細かい事言ってんじゃねぇよ!大体前の村でも思ったけど、何だってそんなにフィル族の事詳しいんだよ。ルーアは」
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