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少年…ルーアは“良くぞ尋ねてくれた”と言わんばかりの得意気な顔で腰に手をあてた。
「だって昔から僕は森から出て色々旅したかったからね。世界をまわるにはフィル族との交流は必要不可欠でしょ?」
フィル族はエルフォトスで最も数が多い種族であり、世界各地で国と言う巨大な集落を作る事で有名だ。
旅の間、食糧やら何やらを補給するには確かにフィル族と関わる事が多くなるのは必然だろう。
「元々僕達の村は森の近くのフィルの村と少し交流があったからね。積極的についていって色々勉強してたんだ」
「物好きなこった」
ディオールが呆れた様に言うとルーアは苦く笑った。
「うん……」
「で?これからどうすんだよ。取り敢えずここらで一番でかい村に行ってみようって言ったのはお前だぜ?」
ディオールはそう言いながら、周囲のフィル族を気にしている。
元来その長い一生を生まれた地から出る事無く過ごすのがエルフだ。彼らの様な例外が他に無い訳では無いが、やはり他種族にとって“エルフがいる”のは非常に珍しい事なのだ。
ましてやそれが“ダークエルフ”と“ライトエルフ”の組み合わせでは。
街へと続く道にいれば、通りすがる者達に奇異な目を向けられるのも無理の無い事だが、ディオールは明らかに苛立ってきている。
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