それぞれの…

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「何だってあいつらこっち見てやがんだ…」   「仕方無いよ。別に悪気は無いでしょ。多分僕らが珍しいだけなんじゃ無いかな?…こらこらっ!相手睨まない!」   「ちっ」   ディオールの機嫌は急速に下降している。   ルーアと違い、ディオールの気質は典型的なエルフのものだ。更に気も短かったりする。   (……ディオールにこの旅は…厳しかったかなぁ)    だが今更戻る事等出来ぬ事だ。ディオールには今の環境に慣れてもらうしか無い。   ルーアは努めて明るく声をかけた。   「ほらほら、いちいち気にしてないで中入るよ!これからやる事一杯あるんだから!」   そう言うとディオールの袖を掴んで引っ張った。   「おいっ!」   「ディオールは黙ってて!あ、そこ通りまーす。すみませんね。お先にぃ」   有無を言わさずディオールを引っ張り、唖然としているフィル族達ににこやかに手を振ると、ルーアは真っ直ぐ街の中へと急ぐのだった。      
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