40人が本棚に入れています
本棚に追加
「何だってあいつらこっち見てやがんだ…」
「仕方無いよ。別に悪気は無いでしょ。多分僕らが珍しいだけなんじゃ無いかな?…こらこらっ!相手睨まない!」
「ちっ」
ディオールの機嫌は急速に下降している。
ルーアと違い、ディオールの気質は典型的なエルフのものだ。更に気も短かったりする。
(……ディオールにこの旅は…厳しかったかなぁ)
だが今更戻る事等出来ぬ事だ。ディオールには今の環境に慣れてもらうしか無い。
ルーアは努めて明るく声をかけた。
「ほらほら、いちいち気にしてないで中入るよ!これからやる事一杯あるんだから!」
そう言うとディオールの袖を掴んで引っ張った。
「おいっ!」
「ディオールは黙ってて!あ、そこ通りまーす。すみませんね。お先にぃ」
有無を言わさずディオールを引っ張り、唖然としているフィル族達ににこやかに手を振ると、ルーアは真っ直ぐ街の中へと急ぐのだった。
最初のコメントを投稿しよう!