それぞれの…

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「フッ…」   青年から人の良さそうな笑顔が消える。   「全く…大したもんだな」   むしろ不遜にも見える笑みを浮かべると、姿勢も斜に崩した。   マスターもニヤリと笑う。   「その方がずっと良いぜ」    「そりゃどうも」   青年はジョッキを持ち上げ、乾杯でもするかの様にマスターの方に少し傾けると2杯目に口をつけた。   「お言葉に甘えて気楽にやらせてもらうよ。…で、気楽ついでに聞きたい事があるんだが」   「何だ、早速か?」   「始めは時間かけてじっくり探りを入れようかと思ってたんだが…まぁあっさり見抜かれたしな」   青年は片肘をつくとつまみのナッツを指で摘み、口に運ぶ訳でもなく指先で弄り始めた。   「あんただって勿体ぶって回りくどい話聞きたくは無いだろ?」   「違いねぇ。はは…兄さん、あんたもなかなか大したタマだな。気に入ったぜ。何でも聞きな!」   マスターは可笑しそうに笑うと、青年の方へ身を乗り出した。   「俺が探しているのは…」   「おぅ!親父!邪魔するぜっ」   荒々しい物音と共に下卑た大声が響いた。体格の良い髭面の男を先頭に3人の柄の悪そうな男が賑やかく入り、店の一角を陣取った。   「…なんだが………って、今の話聞こえてた?」
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