159人が本棚に入れています
本棚に追加
**************
「すいませーん!どなたかいらっしゃいませんかあ?」
「…やっぱ誰もいねーじゃんかコノヤロー…。」
「………」
「あ…何コレ?」
智沙は机の上にあった紙をとる。
そこには綺麗な字でこう書かれていた。
【貴方へ
全く、貴方という人はどれだけ私を待たせれば気がすむんですか。
私は勘忍袋の尾がきれました。
先に行っています。きっとこれを読むころ私は上から貴方を見ているでしょう。
私の所へ行きたいなんて思わないでね。
貴方は自分のやりたい事をやっているのだから、それを貫き通してください。
最後に、ごめんなんて死んでも言わないで。】
…ポタっ
汚くなった畳みには清い涙が零れ落ちた。
「ばあさんも死んでたのか…。それも結構前だな。」
「う…そんなっ…!」
「しょうがねーだろ…。人はいつか死ぬ。今頃二人で仲良くやってるさ…。」
「……うん。」
「なら、する事は一つだろ…?」
智沙は笑顔になってうなずき二人は窓から乗り出して、紙飛行機にした手紙を空へと飛ばした。
紙飛行機は永遠と空を飛び続けていた。
それはまっすぐ力強く。
「…じい、ありがとう…。幸せにね……!」
そして二人は屋敷を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!