はじまりは唐突に

2/9
398人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ時間に店に出る予定だが今日はいつもと違うのだ。 私の作った洋服が初めて店頭に並ぶのだ。 これほどうれしいことはない。 だから今日はいつもよりはりきって店に出た私の第一声は… 「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 あらやだ…ついつい女の子なのにはしたない声を出しちゃった♪ というのも店頭に出していた私の服がすでにないのだ!! 今まだ開店前なので誰かが盗んだに違いない!! 「デンチョー!!デンヂョー!!わた…わだじの…わだ…わだ…ぢの…ふ…ふく…ふ…〇×♂¥◇◎∇…」 すごいパニックに陥りながら泣きじゃくり、店長を呼んだ。 今、女の子じゃないくらい顔ひどいからモザイクかけといてほしい… 「君の服なら昨日最後の仕上げをするっていって部屋に持ってったのでは?」 2階から降りてきた店長が一言。 「あ…」 「ふざけてたら怒るよ?」 顔は笑ってるけど目が笑ってない… 「すいません。探してきます!」 急いで2階へ駆け上がり、すぐ目の前にある作業台の上を見る。 ……ない。 絶対ここだと思っていたのに… 昨日のことを思い出す。 作業後、自分の服を畳んでいたな… ……まさか…… 「自分のと一緒にタンスに…?」 ガサゴソ… あった…私あほじゃん…テンチョー…私ダメな子だった… 深い自己嫌悪… ‥‥‥沈んでいても仕方がない。 さぁ~て仕事がんばろ~っと…
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!