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「ミアは分かってないなぁ…」
そう言いながらアセリア様は立てた人差し指を左右に振る。
「え?なにがです??」
「下町に行きたいから城を出るんじゃなくてトールに一泡ふかすために下町に行くのよ…フフッ…」
キリッという効果音が聞こえるような決め顔でこちらを見る。
「ダ・メ・で・す!!」
「ちょっと、ミア~…」
「かっこよくそんなこと言ってもダメです!絶対にダメです!!下町で誰かに襲われたらどうするんですか!?前に襲われたときはトールと一緒に買い物中だったからかわいそうな若者たちを土下座だけで慈悲の心のため許してやりましたが今回はダメです!!」
「ミアってたまにひどいこと言うよね…」
私よりアセリア様の方がよっぽどひどいことをやっているとは口が裂けても言えなかった。
「なにを言ってもダメですからね。」
「別にいいじゃんか…ミアもエストに格闘技習ってるじゃん…それの見せどころよ??」
そう、私はここに勤めるようになりはじめてからすぐにエストから護身術程度の技を教えてもらっているのだ。
でも…
「それはもしものために習っているんです!!なんでもしもを自分で起こすんですか!!全く…」
「ちぇ~…じゃあしかたないわね…」
ぶーぶーという効果音が聞こえてきそうなつまらなさそうな顔でこちらを見てくる。
「分かればいいんです。」
それになるべく淡白な答えを返す。
そうしないとまた駄々をこね始めるからだ。
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