はじまりは唐突に

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ここはなんなのだろうか… 夢の世界にいるみたいだ… だんだん船酔いにあったみたいに気持ち悪くなってきた… 『もう少しで着くから我慢してね♪』 突然頭の中に声が響いてきたが、正直今はそれどころではなかった。 も…もう少しってどれだけ… 『うるさいわねぇ…だまってないと変なとこに落とすよ?』 なぜ私の思ったことがこの女性に理解されているのかは分からないが、とりあえず言うことを聞かないとまずい気がしたので、私は必死にがまんすることにした。 一生続くかと思われたが、少し遠いが光のようなものが見えてきた。 どうやらそろそろこの空間も終わるようだ。 「はい。とーちゃーく。」 などと考えているうちに女性の終わりを告げる声が聞こえた。 自分が降り立ったところがどこかなど景色を見るよりも前に私はすぐさま地面に膝まずいた。 「う…うぷっ…」 ちょっと船酔いになるとかいうレベルの気持ち悪さじゃない… 「ちょっ…あんた大丈夫!?」 「あんたじゃなくて私にはミリアクアって名前が…うぷっ…」 「はいはい…じゃあミアでいーや。」 人の名前勝手に決めるなっちゅーに… 「あの…お城に入る前にあなたの名前教えてくれませんか?」 気持ち悪いけど、さすがにこの体勢のまま聞くのは失礼かと思い、体を起こして、こう聞いた。 「あたし?そーいやいってなかったっけ??」 あなたのことは、全くもって、一ミリ足りとも教えてもらってはない。 「あたしはアセリア!!」 腰に手を当て、私の前で仁王立ちしながら『アセリア』と名乗った。 「さっき一緒にいた人は私の許婚でエキストイっていうの!エストって呼んだらいいわ!」 ついでに一緒にいた彼のことについても教えてくれた。 それを聞いたところで私の我慢も限界を迎え、またも膝から崩れ落ちた。 「っていうかミア大丈夫??顔色悪いよ??」 やばい…うえっ…マジはきそう… 「まぁ言っててもしょうがないから中はいってよ。正面からじゃトールがうっさいから裏から行くわよ。」 おぃおぃ…こんなんでいーのかよ… かくして私は城の中にはいったのである。
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