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「何か面白いエピソードとかは無いのか?
例えばそう…失敗談とか」
我ながら良い質問ではないだろうか
いつも毅然と振る舞う母の、ちょっと恥ずかしい話しに興味持った息子
―普通だ
問題なく普通だ
「ふむ………
璃々亜の失敗らしい失敗といったら、通販で頼んだショーツが品番の書き間違いでTバックが…」
そこまで言った爺ちゃんの首筋には、煌めく銀色の刃物が当てられている
……いつの間に?
エプロン姿に家庭味を感じないのは気のせいだろうか
妙に包丁が似合ってある母が爺ちゃんの背後に立ち、紅い瞳を鋭く細めている
「息子に変な事を吹き込むな」
確かに恥ずかしいネタかもしれないが、それを使った結果は今の爺ちゃん
とても実戦で使える代物ではない
「その息子がお前の面白話しを聞きたいとせがんで来たんじゃがな」
キラーパス?
母の怒りの矛先をあっさり僕へと押し向ける爺ちゃん
《敬老の日》に何も贈ってやらないからな
「ほう?
貴様、母を笑い者にしたいのか
間違って頼んだTバックを、シィーちゃんの希望で時折穿いている母を学校で言いふらす気か?」
穿いたんかい
恥ずかしくて誰にも言えないよ
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