お使いから昼飯前まで

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僕は今にも泣き出しそうな顔を自分なりに 『悟られていない』 を崩さないように、必死に冷静を装おっている 陽子は小刻みに震え、透き通るような白い肌を真っ赤に染め、頑張って 『別に僕泣いてないよ』 を演出しようとしている僕を見て 「あ、ご、ごめんね? 本当、あの、そんなつもりで言った訳じゃないの! あ…っと、だからね?え~と、その……ゴメン…… ああぁぁぁ!だから謝ってるじゃない! 泣かないでよぉー!」 初夏の日差しは僕には少し厳しく 騒ぎ始めたセミの鳴き声は、僕には少し優しく感じた だから僕は 泣いたんだ 「うわぁぁぁぁぁん!!!」 暦は7月に入ったばかり 夏はまだ始まったばかりだ
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