1050人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、そんな事言わないよ
それより爺ちゃんが他人だなんて聞いてないぞ」
別に話題を変えたい訳じゃない
当たり前のように一緒に暮らしていた爺ちゃんが、実は他人だということ黙っていた理由は何だ?
――まぁ、母の怒りは逸らしたいが
「ん?
誰もコイツが祖父だと言っていない
子供に年寄りを《爺ちゃん》と呼ばせるのは常識だろう」
いや、呼称の問題じゃなくて
「あの…それはそうかもしれないけど…」
僕が知りたいのは何故一緒に住んでるのかであって
「儂は孫だと思っている」
あ、滋夫は黙ってくれる?
この際、爺ちゃんの立場はどうでもいいとして、母がこの場にいては聞き込みもここまでか…
「くだらん話しをしている暇があったらテーブルの上でも綺麗にしておけ」
爺ちゃんの首筋から包丁を退き、布巾をテーブルの上に置いてキッチンへ戻っていった
「……怖かった」
話題の切り替えのおかげか、母の鉄拳が僕へ飛んでくることはなかった
「全くじゃ…
アイツの弱点なんぞシズィアとカマキリくらいじゃろうな」
―――!?
爺ちゃんの言葉に僕の脳がその一つのみに囚われた
弱点?
カマキリ?
答えが自ら歩いて来たよ…いや、これはきっと
――啓示だ
にしても………
「ベタだ」
最初のコメントを投稿しよう!