璃々亜の泣きドコロ―2

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編入して2日 いつものように体育館で昼食を食べる輪に、キリトは異様なまでに馴染んでいた 「おい陽子 お前も俺に弁当を作れ」 やはり昼食はおにぎり1個のキリトが陽子に言う 『足りない』と稲穂に言えないんだろうな… 「何でアンタに作らなきゃいけないのよ」 冷たくあしらう陽子だが、キリトを見ようとしないのはその姿が可哀想過ぎるせいだろう 皆がお弁当を並べている中、正座でおにぎり1個を食べるキリトには哀愁すら感じる 「……ほら、食べろ」 耐えられなくなった僕は、色彩豊かな弁当からエビフライを取り出し、弁当のフタに乗せてキリトに差し出した 「――くっ!……すまねぇ!」 江戸っ子? キリトは涙を堪えるように硬く瞳を閉じ、エビフライの乗ったフタを受け取った いや……そこまで感謝されても 「お前、仕送りもらってるんじゃないのか? 足りないならパンでも買ってこいよ」 パン派の大作が言う 昼食時には学校にパン屋が来るから、競争率は激しいが大作の言う事も可能だ しかし、キリトは浮かない表情で大作に告げる 「……叔父さんに殆ど持っていかれて俺は1000円しかもらってない」 叔父さんとは大作の親父だな 「悪かった この《焼きそばコロッケパン》をやるから元気出せ」 キリトが大作の家に来たのは間違いのような気がしてきた
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