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いつものように体育館で昼食を食べる輪に、キリトは異様なまでに馴染んでいた
「おい陽子
お前も俺に弁当を作れ」
やはり昼食はおにぎり1個のキリトが陽子に言う
『足りない』と稲穂に言えないんだろうな…
「何でアンタに作らなきゃいけないのよ」
冷たくあしらう陽子だが、キリトを見ようとしないのはその姿が可哀想過ぎるせいだろう
皆がお弁当を並べている中、正座でおにぎり1個を食べるキリトには哀愁すら感じる
「……ほら、食べろ」
耐えられなくなった僕は、色彩豊かな弁当からエビフライを取り出し、弁当のフタに乗せてキリトに差し出した
「――くっ!……すまねぇ!」
江戸っ子?
キリトは涙を堪えるように硬く瞳を閉じ、エビフライの乗ったフタを受け取った
いや……そこまで感謝されても
「お前、仕送りもらってるんじゃないのか?
足りないならパンでも買ってこいよ」
パン派の大作が言う
昼食時には学校にパン屋が来るから、競争率は激しいが大作の言う事も可能だ
しかし、キリトは浮かない表情で大作に告げる
「……叔父さんに殆ど持っていかれて俺は1000円しかもらってない」
叔父さんとは大作の親父だな
「悪かった
この《焼きそばコロッケパン》をやるから元気出せ」
キリトが大作の家に来たのは間違いのような気がしてきた
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