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「心配しなくてもそんな危なそうな山には行かない」
石橋は叩いて渡るが吉
危ない橋をわざわざ渡るなんてもっての他だ
「そ、そうよね?
別に心配なんてしてないけど…ホラ、小さい2人が山に入ったら遭難しちゃうでしょ?」
全国のチビッ子登山家に謝れ
大体、山岳部に身長制限なんてあるものか
毎度一言多い陽子を睨んでいると、突然大きな声が体育館に響き渡る
「わははははは!
ヴァンパイア、佐久間権太!
迷信を怖がるなぞ臆病なヤツめ
伝説のフリークスがその程度とは聞いて呆れる!
陽子!
そんなヤツはやめて俺に乗り替えた方が利口だぞ」
いつの間にかステージに上がったキリトが、声高らかに告白なのか挑発なのか分からない事を叫んでいる
しかし、キリトの言葉を僕は無視できなかった
「その程度だと?
笑わせるな符咒師風情が!
我ら闇の眷族、陽より他恐れるものなど何も無い!」
言ってみたかった!
こんな対決シーンをやってみたかった!
「おおー、何だか盛り上がってるな」
横で大作が手を叩いている
「やめてよ!私のために争わないで!」
お前はヒロインの器じゃない
胸の大きな白雪姫の口に、笑いながら毒リンゴ突っ込む魔女がお似合いだ
その後
数分間続いたステージ上の一幕は、結局カマキリという単語が出ないまま、《姥捨て山》に行く事で幕を閉じた
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