81164人が本棚に入れています
本棚に追加
/482ページ
武装して歩き回る兵士達も、警戒を強めるギルドも、当主を守る家族すら、役に立たない。
“存在しない貴族”とは、圧倒的な“暴力”を以て、全てを“無”にする。
難しい言い回しをしたが、つまりは、“存在しない貴族”の前では何も通じないのだ。
魔法だろうが、剣術だろうが、銃撃だろうが。
それが、“圧倒的暴力”。
「クックックッ…………。」
しん、と静まり返る教室内に、低い笑い声が響く。
皆が不安に心駆られる中、笑う者がいるのだ。
発信源は、ギルだった。
「クックッ……。『ロイ・ボルト』って知ってるか?
“存在しない貴族”って、『一度死んだ。』って言ってるらしいぜ……。」
ニヤニヤと笑いながら、ギルが話す。
元々、冷めたロゼの顔が驚きに満ち、ジスとミランダの顔は青ざめた。
その言葉は何を示しているのか。
現時点では、想像しか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!