恐怖

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武装して歩き回る兵士達も、警戒を強めるギルドも、当主を守る家族すら、役に立たない。 “存在しない貴族”とは、圧倒的な“暴力”を以て、全てを“無”にする。 難しい言い回しをしたが、つまりは、“存在しない貴族”の前では何も通じないのだ。 魔法だろうが、剣術だろうが、銃撃だろうが。 それが、“圧倒的暴力”。 「クックックッ…………。」 しん、と静まり返る教室内に、低い笑い声が響く。 皆が不安に心駆られる中、笑う者がいるのだ。 発信源は、ギルだった。 「クックッ……。『ロイ・ボルト』って知ってるか? “存在しない貴族”って、『一度死んだ。』って言ってるらしいぜ……。」 ニヤニヤと笑いながら、ギルが話す。 元々、冷めたロゼの顔が驚きに満ち、ジスとミランダの顔は青ざめた。 その言葉は何を示しているのか。 現時点では、想像しか出来なかった。
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