81163人が本棚に入れています
本棚に追加
/482ページ
空を舞う一つの影。
遠目から見るとただの人だが、同様に空を舞う人達は、それに気づくと、一目散に逃げ出す。
黒いローブに新品の仮面。
見事なまでに素顔を隠すのは、“ヤツ”しかいない。
皆は“ヤツ”の恐怖を知っている。
特に貴族には、浸透していると言っても過言ではない。
今は貴族ばかりだからといって、商人や農民達も油断はできない。
“ヤツ”の思考回路は誰も知らないし、分からない。
だから、“ヤツ”がいつ標的を農民層に変えるかも分からない。
いつ、殺されるかも分からない。
“ヤツ”が出没し始めてから、まだ一年も経っていない。
その僅かな期間の中で、“存在しない貴族”というのは絶対的な悪として君臨し始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!