狂いだす歯車

3/45
81164人が本棚に入れています
本棚に追加
/482ページ
世間には片足になった貴族が増えてきて、松葉杖をつく姿が目立つようになった。 襲われていない貴族の数より、襲われた貴族の数の方が多い。 貴族が襲われた数に比例して、横暴的な暴力はなくなっていき、今ではほぼ0に近い程だ。 その点から、農民達は“ヤツ”をリスペクトしているが、対して、恐れている一面もある。 なんとも、矛盾した話だ。 そんな人々の思いなど関係ないと言わんばかりに、“ヤツ”は悠然と空を舞う。 今まで狙っていたのは、横暴を行う貴族や、権力を振りかざす貴族を狙ってきた。 それだけを狙うとすると、単なる中小貴族や、善良で農民達に慕われる貴族を抜いて、後二つだけとなる。 その二つとは、これから向かうコーラル家ーーミランダの実家であるーーと、 ボルト家だけだ。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!