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「ロイ……。ロイ、ロイ、ロイ!!」
子どもの頃には大きく思った体も、今ではもう背丈を大きく越えていた。
連呼される名前も、懐かしさしか感じなかった。
母が父の倒れているのを見ても何も反応しないように。
時間は流れてしまった。
“今”ではもう“過去”の気持ちにはなれないんだ。
“未来”に進まなくては。
泣き崩れる母の横を通る。
決して立ち止まることなく、振り返ることなく。
その瞳には先しか見えていない。
“先”に希望は無いのだが、進まなくてはならない。
出来ることなら、立ち止まりたい、振り返りたい。
だけど、行くんだ。
自分のために、他人のために、未来のために。
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