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ピチャン、ピチャンと水音が聴こえる。 地下の奥底、窓すらない強化された鉄の壁で覆われた部屋。 おそらく、この水音は上からこの個室に当たる地下水の音だろう。 ココに入るのは危険度超級、死刑確定のヤツらのみのため、外から声が透るようにしてある、なんて噂を思い出した。 そんな地下深く、完全個室に娯楽なんてあるわけないし、人も来るわけない。 監視員は中からは見えないが、来る途中に数えたのは上にある通常の犯罪者を収める牢には五人、あと、最後の階段に一人いた。 娯楽、話し相手、景色、全てを奪われて、残るのは水音のみ。 目を開けていたって、見えるのは銀の壁だけ。 ならばいっそ、見えない方がいい。 ギルは目を閉じて、水音を数えていた。
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