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「俺はゼッテェ行かないからな!」
ガルシアが喚き散らすが、グイグイと引っ張るフリードの力には勝てず、引きずられていく。
細めの男が筋肉達磨を引きずる姿はまるでコメディのようで、城内の従者達の失笑をかっていた。
「おい、オヤジィ!」
重厚な木の両開きドアを思いっきり開けて、開口一番の言葉。
中に居たのは温和そうな初老の男性だけで、白髪と黒髪が入り混じった灰色の髪と丸眼鏡が印象的だ。
「おや、フリードリヒじゃないか。珍しい。」
息子が訪ねてきたのがよほど嬉しいのだろう。
細い一重のタレ目を更に細めて、フリードを見つめる。
「今日は頼み事があるから、来た。」
単刀直入、まどろっこしいことを全て取っ払って、要件だけ伝えるつもりのようだ。
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