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しかし、国王は彼の思いを簡単に打ち破った。
「死刑執行を明日にする。」
ゼウセスは冷徹な瞳で言った。
しかし、ガルシアには国王に意見出来るような権力は無いし、身分でもない。
現国王に見初められ、この地位まで駆け上がったガルシアには、これ以上ゼウセスに迷惑をかけられないという思いもあった。
「……分かり、ました……。」
ガルシアは下唇を噛んだ。
ゼウセスには見えないように、端のほうだが。
手からも血が出ている。
「分かりました」という言葉が苦痛でしょうがなかった。
国王に恩があり、一生ついていきたいと思っている一方で、ギルを助けたい思いもある。
ガルシアは苦悩していた。
頭の片隅で助ける方法を思案しながら。
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