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「はぁっ!?」
目の前に居る人の言っている意味が理解しがたくて、俺は思いっ切り顔をしかめる。
はぁ、とため息混じりに話すその見下した言い方に、本当に血が繋ってんのかよ。と疑う俺。
「この間のテストの結果、忘れたのかしら?」
「‥‥」
そのたった一言で何も言えなくなる自分も、また相当馬鹿だなぁと思ってしまう。
「だ、だからって…家庭教師なんて無理だかんな!」
母親はそんな俺を当然のごとく無視して俺と幼馴染みで同級生の愛と楽しそうに話している。
「おいって!」
激しい俺のツッコミは、三回してやっと気付いたかのように冷ややかな目で突き放す母。
「好きになさい。その代わり、月に一回のおこづかいはなしよ」
ズズッと粗茶を音をたてる。
(クソばばあっ…!!)
「それに!実際先生に会ったら、毎日やる気でるわよ。アンタは」
その絶対的な自信はどっからくんだっつーの!
20%の諦めと、80%の殺意を向けるも、本人は100%目の前の昼ドラに夢中だ。
とぼとぼと自分の部屋に虚しく戻る俺は、今世界一不幸なんじゃないかと思うぐらい目の前が真っ暗だ。
明日から夏休みの青年を前に、明日から家庭教師を雇ったなんて惨い事をあのババアはぬけぬけと‥。
今年の夏休みこそ、可愛い彼女作って、思いっ切り青春しようとしてたのに‥!!
「最悪だぁぁあぁ~!!」
下のリビングにいるババアに伝わるように、俺は思い切り叫んだ。
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