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「実は、私……すごく不安で、怖いんです……」
「……不安?」
「えっと、その……。か、駆くんの気持ちが分からなくて」
「馬鹿息子の?」
お母さんが、首を傾げる。
「だ、だって駆くんは、私なんかのせいで、危険な目にあってるんですよ? 駆くんは何も悪くないのに、命を狙われてしまって。……私は、あんなに良い人の日常を壊してしまったんです……」
「日常を……ねぇ……」
「だから……。きっと駆くんは私のことを嫌ってます。恨んでるんです。……きっと、きっとそうに決まってます」
そこまで言って、私は大きく息を吸い込み……そして続ける。
「……それなのに。それなのに、私の中には、『駆くんと仲良くなりたい』と……。そう思っている自分がいるんです」
「…………」
お母さんは、何も言わずに聞いてくれている。
今は、それがありがたかった。
「自分にはそんな資格がないということは分かっています。
でも、どうしても思ってしまうんです。自分勝手だということは分かっていても……それでも、この気持ちはどうしても捨てられないんです。諦められないんです……!」
「……そう」
「わ、私は、どうすればいいんでしょうか? どうやって、駆くんに罪滅ぼしするべきなんでしょうか? ……どうやったら……駆くんと仲良くなれるんでしょうか?」
いけない。
なぜだか、泣きそうになってくる。
だけど、ここで泣くのは筋違い。
歯を喰いしばってそれを堪え、そして最後の言葉を口にした。
「私は、馬鹿だから……。
これから、自分がどうするべきなのか分からないんです。でも……だからと言って、どうすることも出来ずにウジウジしてるのなんて嫌なんです」
「……うん。そうね」
「だから、お母さん……お願いします!教えてください……!
アドバイスを……聞かせてください!お願いします……!」
そう言って、私は頭を下げた。
――ありのまま、自分の心の底を打ち明けた私。
嘘偽りなんて、何一つない。
私の考えている全てを、言った。
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