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優と、雑談をしながら晩飯を口にする。非常に残念な味だった。
「今日は何していたんだ?」
「高校生時代の友人と食事していたんですよ」
「何食ったんだ?」
この質問に対して、イナギが軽笑する。
「そんなこと質問してどうするんだ。もっと繋る話をしてやれよ」
私は話が下手なので、こういうイナギのアドバイスは、自身の向上にコネクトして良い刺激になる。
「ペペロンチーノを食べたんですよ。値段のわりには味が残念でした。誠さんはどうでしたか?」
「うーん、図書館にいたよ」
一人でゲームセンターにいたなんて言えないから、適当に誤魔化しておいた。
私は、いつ話そうか考えていた。イナギは黙っていたが、それは逆に、私を急かしていた。
私達は急にものをいわなくなった。空間には静けさだけが残り、善心が疼く。
「優…」
切り出すまで時間がかかりすぎたか、優は若干不穏に気付いているようだった。
「なんか悲しそうにいうね」
「この先、何があっても協力してくれるか?」
優は目を点にしていた。
「何があっても…?」
そこだけ質問して、頷いた。
「この箱に触れてほしい」
「これって…」
察したようだ。狂気に満ちた犯罪者の人格がはいった、悪魔の贈り物だ。
安穏や平凡は嫌いだが、この時は、それらが輝いて見えた。
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