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半隊長の原田克吉が数名の隊士を連れて斥候に出た後、残った隊士達は敵が近くに迫って来ているのに気づいたが、不幸なことに他の大人の隊長達ともはぐれてしまった為、嚮導の篠田儀三郎の指揮の下、西軍と戦うことを決めた。  少年達は善戦したが、此方の所在を知った敵も猛烈に射撃を開始した。武器の違い、兵の数、戦場での経験不足もあってか、数名の負傷者をかかえ、彼らは退却を余儀なくされた。ここでまた数名がはぐれ、篠田率いる十数名は敵の進路を避け、城に戻って君公を護衛しながら敵を迎え撃つつもりで城への帰還を目指すことにした。途中、再び敵と遭遇し、銃撃戦となった際にまた負傷者が出たが、傷ついた仲間を助けながら飯盛山の東側に掘られた弁天洞の洞門を抜け、彼らは弁天祠の傍に出た。其処から飯盛山の高台に進んだ彼らの視界に開けたのは、炎に包まれた城下で、疲れ切った彼らの眼には、鶴ヶ城の天守閣さえも炎上しているように映ったのである。
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