第二章 依頼

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… 海辺に停めた車に戻り 寝そべっていたら、助手席のドアが開いて 俺の幼なじみのケイが、乗り込んできた。 「おそかったね。」 と俺は言った。 ケイは、髪をかきあげ 「すなお、たいしてまってないくせに、そんな事を い、わ、な、い。」 と答えた。 いつもの事だが、俺は、彼女に軽くかわされた。 たった今起きた財布強奪をケイに話すべきか?迷っていた。 俺が暴漢の話をしたとする。 ケイは、即座に警察へ行くと言い出す。 まちがいない。 ケイは、子供の頃から正義感が強い。 間違ってる事なら俺たち悪ガキにも、臆せず意見を言った。 もし道で100円を拾っても ケイなら届ける。 賭けてもいい。  かといって、ケイはお堅い優等生でもない。 その整った容姿とは、似つかわしくない程、気性がサッパリしてる。 姐御肌なんだ。 でも、俺は警察がいやだ。 俺は、【ミングス】だ。 警察とは、仲良しになれないし、奴らを信用していない。 やつらは、市民を守るのが仕事だが、【ミングス】は、市民には入れていない。 それに俺はやつらに常に見張られている。 宇宙の衛星と 警察官の冷たい視線からね。 そんな事を考えていた俺に ケイか゛こう切り出した。 「ねえ、スナオ」 言い遅れた。 俺の通称は 梶山 素直だ。 本名は、すごくながい。 書く機会もあまりない。 「あんた、【鳥カゴ】に入ってるよね?」 なんで【鳥カゴ】の事をケイは話すんだ? 【鳥カゴ】とは、人間を追尾できる衛星システムの事だ。 俺のような移民の子孫 【ミングス】は、その位置が瞬時にわかるICチップを体に埋め込まれている。 この仕組みが【とりかご】だ。 この仕組みが実行された時、政府は、コメントした。 「これで日本は安全になった。」 まぁ、奴らの守るべき人間に【ミングス】は、含まれてないのは、確実だろう。 …
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