第二章 依頼

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ケイの話は、こうだった。 …ケイの働く部署へ新人の女が配属された。 学校を出たばかりで 初々しく、昔の自分を思い出すんだそうだ。 初々しいケイの姿を想像したが、 俺にはタチの悪い冗談に聞こえる。 新人の初仕事は、担当地区の住民の情報を端末へ打ち込む事だった。 その仕事を新人は、2日程度でやり終えた。 ケイは、その作業を皆が、帰宅した後に点検した。 この皆がいない時間帯に点検をやるのが、ケイらしい。 人前で新人のミスを見せない気遣いだ。 そして、入力もれを発見した。 ケイは、新人本人に言わないつもりで、入力漏れをフォローし帰宅した。 それから何日か、新人の作業の点検を続けたが ミスは無かった。 新人は優秀だった。 ケイは、加村というその新人を褒めるつもりで声をかけた。
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