65人が本棚に入れています
本棚に追加
ケイの話は、こうだった。
…ケイの働く部署へ新人の女が配属された。
学校を出たばかりで
初々しく、昔の自分を思い出すんだそうだ。
初々しいケイの姿を想像したが、
俺にはタチの悪い冗談に聞こえる。
新人の初仕事は、担当地区の住民の情報を端末へ打ち込む事だった。
その仕事を新人は、2日程度でやり終えた。
ケイは、その作業を皆が、帰宅した後に点検した。
この皆がいない時間帯に点検をやるのが、ケイらしい。
人前で新人のミスを見せない気遣いだ。
そして、入力もれを発見した。
ケイは、新人本人に言わないつもりで、入力漏れをフォローし帰宅した。
それから何日か、新人の作業の点検を続けたが
ミスは無かった。
新人は優秀だった。
ケイは、加村というその新人を褒めるつもりで声をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!