第三章 酔っ払いのエレナ

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第三章 酔っ払いのエレナ

  エレナ  16歳  ミングス  スナオの友人 ……………………… 自分の部屋に戻り そのケイの依頼… (まぁ俺自身にも関係するが)… のファイルを取り出しよんでみた。 ファイルに書かれた 名前は、黒川 一也 まだ15歳の少年だ。 住所はこの街の南のはずれ ホープタウンになっている。 その地区は、治安が悪い。 【ミングス】が住みついてから、荒れ果てたスラム地区だ。 その場所は 俺のようなミングスでも、緊張する雰囲気がある。 日本に夢を抱き、海を渡った人びとが、生存競争にかけられ、破れ、落ち込み、すいこまれる街だ。 だれが付けた名前だか知らない。 しかし【ホープタウン】なんて皮肉な名前だ。 「希望の街」にすむ 絶望のミングスの民か… その地区に住んでるこの少年の名前は、俺の記憶にない。 俺とは何の関係もない人物だ。 ケイの職場のコンピュータの単なるプログラム上の問題じゃないのか? 俺は、そんな風に考えていた。 「なんでも屋」の仕事としては、ケイの依頼は簡単な部類だ。 金銭の問題や浮気の調査、警察がらみのヤバイ仕事もある。 明日、ホープタウンを訪ねて黒川少年の存在を確認する。 それで終わりだ。 調査の必要もない。 そう考えていたら ドアが開いてヤツが入ってきた。 俺の事務所兼住居のドアの鍵は、仕事の性質上かけていない。 毎度の事だが、酔ってる。 「はーい、スナッピー」 このオンボロビルに住み、地下のバーで働いている 16歳の「エレナ」だ。 少し前にエレナを追い回すストーカーを追っ払ってやった。 それ以来、仕事が終わったエレナは、自分の部屋へ帰る途中に俺の所へ、たまに顔をだす。
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