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第四章 遺伝子を受け継ぐ者
黒川財閥と倉田
そして俺の父母
………………………………
翌日
俺は黒川少年を訪ねる為、街へ出た。
メインストリートのざわめきをぬけ、南の地区に近づくと、あたりの風景が、すさんだものに変わってゆく。
壁にスプレーで書かれた落書きが目立ち始め、
街角にたむろしているミングスの若者たちの視線を感じる。
もう襲われるのは、
ご遠慮したい。
たどり着いた黒川少年の住所には、区画整理された空き地が、広がっていた。
ケイが俺に渡したデータが間違っていたのか?
黒川少年の住所が変わったのか?
考えてみれは゛
ミングスが暮らすこのホープタウンで、人が行方不明になる事など珍しくもない。
なんの理由にしても
この場所に黒川少年は居ない。
さて、どうする?
近所で聞き込みでもするか?
俺は、空き地を眺めながら考えていた。
「何かお探しですか?」
背後から突然、男の声がする。
俺は振り向いた。
そこには、このスラムに相応しくない上品なスーツを着た初老の男が立っていた。
「ここに住んでいるはずの黒川って15歳の男の子を訪ねてきたんです。
しかし引っ越したようですね。なにかご存知ないですか?」
この初老の男が、何か黒川少年の所在の手掛かりになるかもしれない。
期待は、していないが…。
しかし
初老の男から、意外な言葉が返って来た。
「いや突然声をおかけして失礼しました。あなたがこの場所へ黒川を訪ねて来られる事は、存じておりました。梶山様」
驚いた。
この男は俺の名前をしっている。
更に俺の行動まで把握して待っていたらしい。
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