第四章 遺伝子を受け継ぐ者

1/6
前へ
/63ページ
次へ

第四章 遺伝子を受け継ぐ者

  黒川財閥と倉田   そして俺の父母 ………………………………  翌日 俺は黒川少年を訪ねる為、街へ出た。  メインストリートのざわめきをぬけ、南の地区に近づくと、あたりの風景が、すさんだものに変わってゆく。  壁にスプレーで書かれた落書きが目立ち始め、 街角にたむろしているミングスの若者たちの視線を感じる。 もう襲われるのは、 ご遠慮したい。  たどり着いた黒川少年の住所には、区画整理された空き地が、広がっていた。 ケイが俺に渡したデータが間違っていたのか? 黒川少年の住所が変わったのか? 考えてみれは゛ ミングスが暮らすこのホープタウンで、人が行方不明になる事など珍しくもない。 なんの理由にしても この場所に黒川少年は居ない。 さて、どうする? 近所で聞き込みでもするか? 俺は、空き地を眺めながら考えていた。 「何かお探しですか?」 背後から突然、男の声がする。 俺は振り向いた。  そこには、このスラムに相応しくない上品なスーツを着た初老の男が立っていた。  「ここに住んでいるはずの黒川って15歳の男の子を訪ねてきたんです。 しかし引っ越したようですね。なにかご存知ないですか?」  この初老の男が、何か黒川少年の所在の手掛かりになるかもしれない。 期待は、していないが…。  しかし 初老の男から、意外な言葉が返って来た。  「いや突然声をおかけして失礼しました。あなたがこの場所へ黒川を訪ねて来られる事は、存じておりました。梶山様」 驚いた。 この男は俺の名前をしっている。 更に俺の行動まで把握して待っていたらしい。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加