第五章 のっぽさんとゴンタくん

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 案内された部屋には、誰も居なかった。 ここでお待ちくださいと 告げて倉田は部屋を出ていった。  室内には印象派風の絵が、飾られていた。 黒川財閥ならば本物にちがいない。 壁には一面、専門書が並べられている。 作りのよい机と椅子があり部屋全体が落ち着いた雰囲気だ。 この部屋は、誰かの書斎らしい。 持ち主は、学者か研究者のようだ。  俺がその専門書がつまる本だなを眺めていると ドアが開き 一人の男が入って来た。 まだ高校生にしか見えない。 「はじめまして、私が黒川一也です。梶山さんの事は、存じております。」  張りのある若々しい声と 大人びた言葉使いが、不思議な雰囲気を彼に与えていだが、ジーンズにスニーカという服装だ。 顔は、モデルにしたいくらいに整っている。 「君の部屋にしては、難しげな本が揃ってるね、ここは。誰の部屋なの?」 明らかに俺よりも歳が若い黒川に俺は、くだけた挨拶をおくった。
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