第五章 のっぽさんとゴンタくん

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「いえ、この部屋は、僕の書斎です。 今、僕は大学で学んでいます。 日本には飛び級がないですから、海外ですが…。 専門は分子生理学です。」 「すごいねぇ。その若さで黒川の財力と知性、おまけにすぐれた容姿まで…。 カミさまは、ずいぶん不公平だな。」  俺は、ちらりと酒場で働くエレナを思い出した。 「ぼくも梶山さんとおなじようにDNA操作を受けていますから。 知力は僕自身の力だけでは、ありません。 あなただって知力は、相当のものだ。IQは160以上ある。」  俺の事は、すべて調査済みらしい。 いや、俺以上に詳しい。 俺は両親の研究もDNA操作について何も知らなかった。  この出来事の演出者は、日本屈指の黒川財閥である事は、事実のようだ。 ここまでは、あの紳士然とした倉田が話してくれた。 あとの話は、責任者に聞いてくれか…。  責任者? このアイドルのような容姿で、とんでもなく頭のよい少年が、この話の黒幕って事か?  改めて黒川少年の顔を 眺めた。 「黒川さん、君が責任者なんて事は、ないだろ?」 「一也で結構ですよ。梶山さん。 ご期待に沿えなくてごめんなさい。 僕が、この【ナノロイド計画】の総責任者です。 ナノロイドについて倉田から説明はありましたか?」
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