第五章 のっぽさんとゴンタくん

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俺は、困惑する一也を残したまま、部屋を出た。  外に出ると、黒川の権力の象徴のようにナノロイドの研究室のあるビルが、夕日に赤く染まっていた。 俺にはその赤いビルが、 富や権力でヒトを動かしてきた黒川財閥の陰で 名も知れず泣いてきた沢山の人の血のなみだのように見えた。  おれは、歩きながら帰り道にケイに電話をしようと思っていたが 考えたあげく 電話を止めた。  少なくともケイの今回の 黒川との関わりは、 俺の事を考えての行動だろう。 いつまでも気楽な 「なんでも屋」の俺を 心配している事が 痛い程、俺には 分かっていた。 とにかく 話は流れた。 俺は、家路を 急いだ。
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