第六章 宝探し【日本全国ダーツの旅】

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俺はこれらの行為に多弁な反応しなかった。 むしろ無抵抗で何もしゃべらない事で、その理不尽さに抗議しているつもりでいた。 黒川財閥といい、こいつらの組織といい、人間を簡単にオモチャにしやがる。 俺のオフクロの話を思い出しながらこれらの苦痛な実験に耐えていた。 歴史学者だったオフクロはよく言ったもんだ。 「相手を理解しない想像力の欠如が、戦争や紛争の原因だ」ってね。 こいつらの家庭教師をオフクロにお願いしたかった。 俺は、このまま世界から抹殺されるかもしれない。 人間は集団になると、どうしてこうも、無慈悲になれるのか? ナノロイドの事なんて俺には、責任なんてない。 無関係ではないにしろ、俺が何で監禁されて、拷問じみた実験材料にされるんだ。 ふざけるな! 許さない。 その思いが、俺のみじめな立場を支えていた。
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