第六章 宝探し【日本全国ダーツの旅】

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俺は愛車に乗り込み、助手席に眠るエレナにシートベルトをかけてやった。こいつには俺のせいで迷惑をかけた事になる。 俺の親父は俺にやっかいな遺産を残してくれた。 この分だとアメリカ以外の各国がナノロイドについてかぎ回っているにちがいない。まぁ、考えるのは後回しだ。早く帰って眠りたい。車の時計は深夜の1時を過ぎていた。 車を駐車場から出す。 海岸線を町に向けて走りだした。俺の見張り役の男は車で俺の後をついてきている。30分もすれば町につく。エレナは薬の為か、横でぐっすり寝ていて、目覚める気配もない。 疲れた。 今回の事で俺は、決めていた。この街を離れる。 このままでは誰かに迷惑をかけるにきまっている。 こうなれば誰とも関わらず暮す事が、最善だろう。 ナノロイドの価値が軍事、外交にも影響があるならば同じような事態が、いつでも起こりうる。 まったく、やっかいな置土産を親父はプレゼントしてくれた。 いっそ、南の島にでも行って海を眺めて暮すか? うん、悪くない。 車は海添いの直線に入った。そんな事を考えて、運転していると、車の下から小さな破裂音がした。
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