天国 地獄(本文)

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ある朝、加奈は自分の部屋の押入れの中で目覚める。鏡を見て唖然とした。身体が痛んだ。急に恐怖が押し寄せる。  このままでは殺されてしまう。見えない悪魔に殺されてしまう・・・。いつ自分が目覚めなくなるのか、その恐怖に怯えて過ごしていた。  ある日、悪夢に魘された日があった。沢山の自分が枕元にたち、加奈に話かけている。  加奈、あんたは馬鹿だよ。もっと強くならないと。あんたは弱すぎなんだよ。小さい事で 傷つきすぎなんだよ。    加奈、可愛そうに。私が守ってあげるから  加奈、もっと自分を憎め。人を憎め、誰も愛するな。自分をもっともっと傷つけるんだ。  加奈、ねぇ、復讐。それだけは忘れないで。復讐するんだよ  そんな言葉掛けにうなされて、だんだんその加奈達が消えていく。 すると優しそうな目をした自分が最後に耳元で囁いた。 「あいつらは、酒が苦手なんだ。あんたが飲めばでてこないよ。」 次の日から加奈は酒を飲んだ。すると不思議な事に夜中に起きていた自傷行為がやんだのだ。そのかわりに、毎晩絵を描くようになった。なんともかなしげなえだった。毎日毎日酒を飲んだ。フラフラになるまで、昼でも、夜でも酒を飲んだ。
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