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歩道に座り込みながら、空を見上げる。あのまま死ねればよかったのかもしれない。そう思った瞬間に青い空に流れる白い雲は、ぼやけてただの青になった。
頬を一粒の雫が伝ったのが解った。目を閉じて、今雨が降ったのだと言い聞かせた。あんなに空は青かったのに。
背中に冷たいものをかんじた。驚いて
「きゃっ!!!」悲鳴をあげて飛び上がる。
「まだいんのかよ」
さっきの少年が呆れたように笑っていた。
「はい、これ。」
加奈に缶ジュースを投げた。少年はガードレールに腰掛けてコーヒーを空ける。
「なんか辛い事あったん?」
加奈の瞳から大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。
「何ないてんだよ!おい!」
「泣いてない、泣いてないよ。」
そう泣きながら言う加奈に少年はこういった。
「だな。きっと雨の雫だな。」そういって空を見た。
「雨が降ったから今日は仕事休み!!助けたお詫びに暇人につきあえよ。朝ざけするくらいだからお前も暇なんだろ」
少年は立ち上がると、まだ泣き終わってもいない加奈を立たせて歩き始める。 青空の下、泣きじゃくる汚い体の少女を誰もが見ていた。
これが和也との出会いだった。
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