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「成る程。それも正しい意見だよな。」
「対馬は俺達に素の自分を見せる。お前は見せない。だから違う。」
“―!”
俺は腹立たしく感じて、つい怒鳴ってしまった。
「お前は何なんだよ!さっきから!」
ハッとした。
“まずい”そう思ったら、ワヤワヤとクラスメート達が登校してきた。
「うーす。あれ?お前等早いなぁ。」
「まぁねぇ。」
会長が、笑顔で答えている。
俺の肩を一度叩いて副会長は「怒れるじゃねぇか。」と言って自席に着く。
面白くない。
そう思い、頭に勉強なんかひとつも入らずその日は終わった。鞄を手に持ち、さっさと帰ろうと廊下へ出た。
すると、またもや副会長に呼び止められた。
「小川。お前、十七になったか?」
いきなり、突拍子も無い質問に気が抜けた。
「へ?終業式が誕生日だから、明後日だけど。何でだ?」
「対馬、まさか!」
三國が嫌そうに言いながら割り込んで来る。
「はい、そのまさか~。」
ニヤニヤしながら、副会長は肯定する。
「じゃ、明後日の夜八時。裏門に集合。」
「待てよ!俺は行かない!」
「鬼の住む街の地図を手に入れた。十七歳の男子だけが迷い込める不思議な地図だ。本当か立証しようぜ。」
「ごめんだよ。そんな地図。てか、信じてるのかよ。副会長でも。」
「ビビってんのか?」
三國が言う
「そうじゃなくて、現実的に考えて。」
「龍の首を探す地図だよ。興味無い?」
ドクン!
芹澤の言葉に、心臓が高く鳴る。今…何て言った?
「龍の首…?そう言ったか?言ったよな!」
「小川?―顔、青いぞ。」
流石に三國も俺の行動と顔色に驚き、心配したらしい。
「副会長。」
「対馬でいいよ。」
「―対馬。それを何処で手に入れた?“旅籠”か?」
「ああ。知ってるのか?」
「祖父の友人だ。―明後日の八時だな。行くよ。」
「マジか?」
「ああ。龍の首…思い出した。じいちゃんが言ってたんだ。十七の時鬼から葛籠を貰ったと言ってたんだ。でも“決して開けるな。開けたら龍は暴れ、この世の終いが来る”と言われたって。あの葛籠には龍の首が入ってるんだ。」
皆、声が出ない。
周りはガヤガヤと騒いでいるのに。まるで、俺達の空間だけが切り取られてるようだ。
「―よし。止めよう。開けたらお終いなんだろう。」
芹澤が言う。そして、笑って「寄る所あるんだろ?急いでたみたいだし。行きなよ。」とも言ってくれた。
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