第一章 我が街へ

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「成る程。それも正しい意見だよな。」 「対馬は俺達に素の自分を見せる。お前は見せない。だから違う。」 “―!” 俺は腹立たしく感じて、つい怒鳴ってしまった。 「お前は何なんだよ!さっきから!」 ハッとした。 “まずい”そう思ったら、ワヤワヤとクラスメート達が登校してきた。 「うーす。あれ?お前等早いなぁ。」 「まぁねぇ。」 会長が、笑顔で答えている。 俺の肩を一度叩いて副会長は「怒れるじゃねぇか。」と言って自席に着く。 面白くない。 そう思い、頭に勉強なんかひとつも入らずその日は終わった。鞄を手に持ち、さっさと帰ろうと廊下へ出た。 すると、またもや副会長に呼び止められた。 「小川。お前、十七になったか?」 いきなり、突拍子も無い質問に気が抜けた。 「へ?終業式が誕生日だから、明後日だけど。何でだ?」 「対馬、まさか!」 三國が嫌そうに言いながら割り込んで来る。 「はい、そのまさか~。」 ニヤニヤしながら、副会長は肯定する。 「じゃ、明後日の夜八時。裏門に集合。」 「待てよ!俺は行かない!」 「鬼の住む街の地図を手に入れた。十七歳の男子だけが迷い込める不思議な地図だ。本当か立証しようぜ。」 「ごめんだよ。そんな地図。てか、信じてるのかよ。副会長でも。」 「ビビってんのか?」 三國が言う 「そうじゃなくて、現実的に考えて。」 「龍の首を探す地図だよ。興味無い?」 ドクン! 芹澤の言葉に、心臓が高く鳴る。今…何て言った? 「龍の首…?そう言ったか?言ったよな!」 「小川?―顔、青いぞ。」 流石に三國も俺の行動と顔色に驚き、心配したらしい。 「副会長。」 「対馬でいいよ。」 「―対馬。それを何処で手に入れた?“旅籠”か?」 「ああ。知ってるのか?」 「祖父の友人だ。―明後日の八時だな。行くよ。」 「マジか?」 「ああ。龍の首…思い出した。じいちゃんが言ってたんだ。十七の時鬼から葛籠を貰ったと言ってたんだ。でも“決して開けるな。開けたら龍は暴れ、この世の終いが来る”と言われたって。あの葛籠には龍の首が入ってるんだ。」 皆、声が出ない。 周りはガヤガヤと騒いでいるのに。まるで、俺達の空間だけが切り取られてるようだ。 「―よし。止めよう。開けたらお終いなんだろう。」 芹澤が言う。そして、笑って「寄る所あるんだろ?急いでたみたいだし。行きなよ。」とも言ってくれた。
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